《鳥インフルエンザ》
・トリインフルエンザウイルスによる感染病。
中でも毒性の強いものを高病原性鳥インフルエンザウイルスといい、
感染した鶏などがほぼ全滅する。
・鳥から鳥に感染し、ヒトにはほとんど感染しなかったが、
97年の香港での感染死亡から、各地で死亡者が増え始めた。
東南アジアでは05年11月までに62人死亡。
・ヒトとヒトとの感染、鶏肉や卵を食べての感染はまだ報告されていない。
・元々、カモなど野生の水鳥を宿主として存在し、
鶏や七面鳥等に感染すると、その大半が死亡する場合がある。
・渡り鳥によって拡散し、03年からアジアでH5N1亜型が広がり、
05年からアフリカ、ヨーロッパでも広がっている。
・毒性が強く変異しており、ヒト用新型インフルエンザに変異して
大流行する危険性をWHOなども警告している。
・1918〜19年に日本で40万人、世界で数千万人死亡したスペイン風邪も、
鳥インフルエンザウイルスの突然変異。
・日本では家畜伝染病予防法に指定され、
感染が確認されると、農場の家禽はすべて殺処分され、
死体は焼却・埋却または消毒される。
農場全体は閉鎖、消毒され、人の出入りも禁止。
半径5〜30Kmの区域で21日間以上、
生きた家禽、死体、その生産物と排泄物の移動が原則禁止。
採卵養鶏場で清浄性が確認された場合は、区域内GPセンターへの出荷は認められる。
区域内の全ての農場を家畜防疫員が調査する。
続発がなければ、21日で移動禁止は解除され、3ヶ月は区域の監視が継続。
・97年香港で140万羽、03年韓国で185万羽、04年日本で27万羽が死亡または処分された。
83年米のH5N2型で1700万羽、99年伊のH7N1型で1300万羽、
03年EUのH7N7型で3000万羽が死亡、叉は処分された。
《狂牛病(BSE)、叉は牛海綿状脳症。クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、総称してプリオン病》
・牛海綿状脳症(うしかいめんじょうのうしょう、またはBSE)は
牛の脳に空洞ができ、スポンジ(海綿)状になる病気。
・同種の共食いが原因とされるが、まだ未解明な部分が多く、
・治療法は見つかっておらず、発症後平均余命は1.2年。
全身の不随意運動と痴呆が急速に進行する。
細菌やウィルスでなく、プリオンというタンパク質の異常が原因。
異常プリオンが体内に入ると、正常なプリオンまで異常なプリオンに変わる。
異常プリオンは熱でも放射線でも死なない。
・BSEはイギリスで86年に発生し、飼料の肉骨粉が感染源とみられる。
18万頭が狂牛病になり、370万頭が焼却処分され、多数の英国人が感染牛の肉を食べた。
人間への感染力は極めて弱く、96年英でBSEによるvCJD患者が初めて確認され、
これまで159人、世界で185人。vCJD患者で06年12月の生存者9名。
・激減したものの、潜伏期間が2〜10年と長く、感染経路特定が困難で根絶できていない。
・牛のBSEに対し、人間のクロイツフェルト・ヤコブ病は4種類ある。
一番多いのが孤立性CJDで、日本も78%がこれ。
原因不明で、牛を食べなくても100万人に1人、日本も毎年100〜120人が発生する。
・症状は狂牛病と同じで、異常プリオンが増え、脳細胞がスカスカになる。
平均して60才過ぎにかかり、認知症や失調症状から先に出現する。
・遺伝的原因のCJDが日本で13%、脳手術などでビーブラウン社の
ヒト乾燥硬膜を移植された患者が感染し、このCJDが日本で9%。
・狂牛病による感染が変異型CJD、略称vCJD。
BSE感染牛の危険部位摂取、叉は感染者の輸血が原因。
日本では過去6年で、英国滞在歴のある50代男性の死亡1例。
vCJDは精神症状や行動異常が先に出現する。
脊髄、眼、脳、小腸の末端部分などの摂取はリスクが高いと考えられ、
・日本ではあまり食用にされないが、牛骨スープや化粧品の材料、ペットフードなどに使われている。
・米のエール大・ピッツバーグ大による調査
(アルツハイマー病と老年性痴呆症死亡者計101人の解剖検査)によると、
アルツハイマー症の約13%、老年性痴呆症の約5%が
クロイツフェルト・ヤコブ病と判明している。
・京大医学部福島教授は、アルツハイマーや若年性痴呆患者に
変異型ヤコブ病患者がいる可能性があるとしている。
可能性としては世界のアルツハイマー病と老年性痴呆症のうち、1千万人以上が狂牛病かもしれない。
・類似のクールー病はパプア・ニューギニアのフォア族に多く発症。
宗教儀式として魂を受け取るために近親者の葬式時に肉の一部を口にしており、
1960年頃まで毎年2千人程死亡したが、原因解明後、政府が儀式を中止させ、ほとんど発症しなくなった。
・羊のスクレイピーも狂牛病と同じ症状で、草食動物の羊が、
同じ羊やヤギの胎盤の一部を食べたり、誤って他の羊を食べて起こる。
300年ほど前からヨーロッパ中心に世界各国で発見されている。
・羊のスクレイピーや、クールー病などと総称して
伝達性海綿状脳症と表記される場合もある。
・生前に診断する方法がないため、CJDやアルツハイマー症の診断は難しい。
※肉骨粉(にくこっぷん)は豚・鶏の飼料、農作物の肥料、ペットフードの原料。
・牛豚鶏の食用部分を除いた、くず肉、脳、脊髄、骨、内臓、血液を加熱処理し、
油脂を除いて乾燥し、細かく砕いて粉末にとしたもの。
安価で栄養が豊富。BSE問題までよく使われた。
・EUでは飼料としては禁止されたが、アメリカでは今も鶏に与えられ、間接的に牛が食べている。
牛脂は直接、牛に食べさせている。
※狂牛病対策
・死亡確率は他の病気や交通事故などに比べて格段に低い。
・日本では01年9月から06年1月まで22頭が確認され、
8、9頭目は、異常プリオンの蓄積はみられないとする24ヶ月齢以下の牛。
・日本では03年12月から牛の個体識別、トレーサビリティが実施され、
牛の全頭に個体識別番号が付けられ、出生年月日、雌雄、
母牛の個体識別番号、飼養施設の所在地、牛の種別などが調べられる。
・吉野家やすかいらーくなどが、政府自民党に強力に輸入再開を求めた。
牛角、イオンなども再開賛成派。
同じ牛丼のすき家、なか卯は反対し、松屋は慎重だった。
・牛肉輸入再開は、米の要求にほぼ全て応じる小泉政策。
・米の牛肉はかなり不潔、危険。検査はあいまいでずさん。
危険部位を取り除かない違反牛肉が、年に1千件以上見つかった。
アメリカの農務省やマスコミは、体質的に米国民より業界の利益を重視する。
・米の牛肉団体と大手企業は日本向けの検査を認めると、国内向けも検査を求められるようになり、
費用がかかるとして検査に反対。農務省も検査したいという一部の生産者を説得した。
・アメリカ国民は狂牛病についてほとんど知らされていない。
肉骨粉やダウナー牛(病気で歩けなくなった牛)の死体を混ぜた飼料のことも報告されない。
TVで狂牛病の危険を訴えた農民が全米肉牛生産者協会から食料誹謗罪で訴えられた(協会敗訴)。
アメリカの知識層や金持層だけが、高級スーパーで安全な牛肉を買っている。
・米では、牛の危険部位を焼却せず、それを原料に肉骨粉と牛脂を作っている。
04年に16万トンの肉骨粉と16万トンの牛脂が作られ、すべて家畜のエサになった。
・米は年3500万頭の牛を屠殺、1千万トン分で1人年33kg食べてる計算だが、
人間の公式なBSE感染者はゼロ。ただ、死因を神経衰弱や肺炎にされる可能性は高い。
《狂犬病》
・狂犬病は全ての哺乳動物、イヌ、グマ、スカンク、キツネ、コウモリ、ヒトなどに感染する。
・ジェンナーがワクチンを作り、日本は犬のワクチン接種が義務づけられ、50年ほど発症例は無い。
・世界では年20万匹の哺乳動物が狂犬病になり、5万人が感染死し、うち3万人がインド。
《エイズ》
・AIDSは、Acquired Immunodeficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)という病気の名前。
HIVはその原因となるウイルスの名前、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)。
・感染すると、体を病気から守っている免疫力が低下する。
・普通なら防げる細菌やウイルス・カビなどが体内で増殖し、
肺炎や結核など様々な病気に侵される。
・性的接触や注射器共用などで感染するが、感染後3ヶ月程経たないと検出できず、
症状も半年〜10年程出ない。
・残念ながらまだ治せないが、薬を飲み続ければ普通の生活はできる。
・これまでに延べ3千万人以上死亡した。
・世界のHIV感染者は4千万人、新たな感染者が年490万人、死亡者数が年300万人。
感染者のうち、15才以下の子どもが300万人、15〜24才の若者が1,000万人。
年60万人以上の子どもたちが新たにHIVに感染し、90%以上が母子感染。
数十万人の新生児が感染し、その多くが生後1年以内に亡くなっている。
・感染者数が多いには南アフリカ500万人、インド400万人、中国100万人。
日本でも年に1千人程感染者が増加している。
・感染率が高いのはサハラ以南アフリカの国々。
03年末で、スワジランド38.8%、ボツワナ37.3%、レソト28.9%、
ジンバブエ24.6%、南アフリカ21.5%。
・日本では厚労省の怠慢と無責任、製薬会社の犯罪的行為で、
血友病患者の多数が薬で感染してしまい、これまでに400人以上が死亡。
《エボラ出血熱》
・エボラウイルスで感染し、スーダン株、ザイール株、レストン株の3種あり、
ザイール株は致死率88%、スーダン株致死率は53%、レストン株は人への病原性はない。
・治療方法はなく、対症療法のみ。
・潜伏期間2〜21日で、発熱悪寒、頭痛筋肉痛、食欲不振などから、
嘔吐下痢腹痛などがみられ、全身に出血傾向がみられ死亡する。
・自然界の宿主はまだ不明で、患者の血液、分泌物、排泄物などに直接接触、性的接触で感染。
飛沫感染の可能性は低い。
・76年スーダンとザイール(現コンゴ民主共和国)、79年スーダンと3度流行し、453名死亡。
94,5年、コートジボワール、95年ザイールで流行し、244名死亡。
96,7年ガボンで645名死亡。00,01年ウガンダで173名死亡。01,02年ガボンとコンゴ共和国で34名死亡。
《MRSA感染症(院内感染)》
・種々の抗生物質に効かなくなった多剤耐性の黄色ブドウ球菌のこと。
・日本でも80年初期から全国に蔓延し、大半の病院に住みついている。
・肺炎、敗血症、腸炎、髄膜炎、胆管炎などがある。
・各種消毒薬で防止し、抗生剤で治療する。
・高齢者、免疫不全者、手術患者、気管内に挿管している患者、
未熟児・新生児や外傷患者など抵抗力が弱い患者さんが感染しやすい。
《サーズ、SARS》
・コロナウイルスによる感染症。新型の肺炎。02年末から03年前半にかけ、
中国・香港などで1万人近くが発病し、その後終息。
・患者のせきや痰、体液等の接触感染、飛まつ感染。
・2日〜10日間、潜伏して肺炎になり、8〜9割は1週間程度で回復するが、致死率10%程。
・アルコールや漂白剤等の消毒で死滅する。予防ワクチンはまだない。
《肝炎》
・肝臓の炎症で、日本では8割がウイルス性。
アルコール、薬物、自己免疫、胆道疾患でも起こる。
・重症になるまで自覚症状が出ない。
・血液感染のB・C・D・G型、経口感染のA・E型、経口血液感染のTTV型があり、
BとC型は肝硬変、肝がんに進行する場合が多い。
・厚労省の怠慢と無責任により、止血剤のフィブリノゲン製剤、血液製剤の第\因子製剤、
注射器共用によるB型とC型感染など薬害が多数あったが現在は減った。
・フィブリノゲンは77年にアメリカで製造販売が中止され、
日本はそれ以降も厚労省薬務局の天下り先であり、
薬害エイズも起こした旧ミドリ十字社(現三菱ウェルファーマ)が販売を続け、
10年後の87年に加熱製剤へ切り替えたが、95年のSD処理まで被害が続いた。
延べ30万人以上に投与され、2万人以上がC型肝炎に感染。
厚労大臣は認めたものの、なぜか厚労省と役人は責任を認めず、
5地裁で製薬会社と国に対し訴訟を起きている。
・国内では肝がんや肝硬変で年4万5千人が死亡しており、
うち8割がC型肝炎からの移行とされる。
・血友病治療以外の非加熱製剤によるC型肝炎は、厚労省調査で
投与患者のうち、52%がC型肝炎ウイルスに感染した疑いがあり、
30%近くが現在も感染しているとする報告を出している。
・叉、非加熱製剤で投与された血友病患者は、4割がエイズウイルスに感染し、
400人以上が亡くなっている。
《天然痘(てんねんとう)》
・天然痘ウイルスを病原体とする感染症の一つ、疱瘡(ほうそう)、痘瘡(とうそう)ともいう。
不治、悪魔の病気と恐れられてきたが、ジェンナーがワクチンを開発し、収まった。
・77年を最後に発生しておらず、天然痘はこれまでに根絶された唯一の感染症。
80年WHOは根絶宣言を行った。
・飛沫感染や接触感染により感染、7〜16日の潜伏期間を経て発症。
《ペスト》
・ネズミやリスからノミを介してヒトに伝染する。
・潜伏期間は腺ペスト6〜10日、肺ペスト2〜3日。
・抗生剤がなかった時代の死亡率は腺ペストで60〜90%、
ごく稀に発生する危険な肺ペストは100%。
(ペストが流行していた時代に抗生剤は無かった)
・治療にはストレプトマイシン、テトラサイクリン、サルファ剤が有効。
・6世紀、14〜17世紀、19世紀に大流行し、
黒死病として恐れられ、ヨーロッパ全体の人口の1/3が失われた。
・日本ではペスト菌の発見者北里柴三郎の指導もあり、
80年近く発生していないが、今もアフリカを中心に毎年1千〜3千人の患者が発生。
・アジア、ヨーロッパでも発生し、アメリカも毎年10人前後発生。
《結核》
・結核菌による感染症。不治の病と恐れられ、日本にも広がったが、
ストレプトマイシンなどの抗生物質により激減した。
・現在も世界中で発生し、毎年300万人が死亡している。
・結核菌は1882年コッホによって発見された。
・空気感染が多く、肺の発症が多いが、経口感染もあり、発症は全身に及ぶ。
・結核菌は細胞内寄生を行い、免疫システムが宿主細胞もろともに攻撃するため、
広範に組織が破壊され、放置すれば高い頻度で死に至る。
・結核患者は結核予防法により結核病棟への入院が義務づけられている。
・05年4月からツベルクリン反応検査を行わずに全員にBCG接種を行う形になった。
・日本はBCG接種しているが、アメリカは行われず、ヨーロッパでは継続する国と中止した国がある。
《コレラ》
・コレラ菌による経口感染症。強い感染力があり、アジア型は死亡率75〜80%、エルトール型は10%以下。
・ヒト以外に感染しない。重要な感染源は、患者の糞便や吐瀉物に汚染された水や食物。
・潜伏期間は数時間〜5日。猛烈な下痢と嘔吐を起こす。
・治療は水分補給の点滴静脈注射と抗生物質。
・19世紀に6回も世界的大流行があったが、1884年コッホのコレラ菌発見以降、治まった。
・危険度の低いエルトール型は最近も発生している。
・日本でも江戸、明治時代に数度大流行した。
《破傷風(はしょうふう)》
・世界の土壌中に広く分布する破傷風菌による感染症。
・新生児を中心に世界中で毎年100万人近く死亡。
・傷口についた土などから感染し、舌がもつれ、歩行障害、全身の痙攣と
徐々に症状が重くなり、致死率も高い。発症までの潜伏期間は3日〜3週間。
・ベーリングと北里柴三郎が1889年純粋培養に成功し、ワクチンで予防できる。
・日本では小児用の三種混合ワクチン(破傷風、百日咳、ジフテリア)、
二種混合ワクチン(破傷風、ジフテリア)に含まれ、
減少したが、アフリカ、東南アジア、中南米などではワクチン不足など発生している。
・接種から10年以上経ると免疫が消失するので海外渡航者は予防接種が必要。
《ポリオ》
・ポリオ(急性灰白髄炎)はポリオウイルスで感染。重傷者は手足、
特に下肢が麻痺し、対症療法だけで治療法はない。
・感染者の糞便、汚染された飲食物についたウイルスが口から侵入する。
・感染力が非常に強く、麻痺が起こるまで気付きにくい。
・世界中で何百万人もの子どもたちの手足の自由を奪ってきた。
・WHOなどの取り組みで、88年発症数35万例から、00年3,500例まで99%も減少。
・ポリオ常在国も南アジアと中東、アフリカの7カ国まで減った。
・日本はワクチンの定期接種で発生はみられない。
《赤痢》
・東南アジア、南アジア、アフリカなどに広く分布する赤痢菌の感染症。
・菌に汚染された水・氷・食品・食器・箸などで感染する。
・1〜5日の潜伏期間の後、下痢発熱腹痛などが起こり、強い菌では腸内出血で血便がある。
・重い赤痢でも死亡することは極めてまれで、健康なら発病しない。
・ワクチンはなく、抗生物質で治療。
・衛生状態の悪い国では生水、氷、生ものを避けるのが予防。
・国内では海外旅行者を経由した乳幼児の集団感染が起きている。
《海外旅行者の予防接種》
・接種後10年でワクチンの免疫効果が薄れる。対象国への旅行は予防接種が必要。
・WHOが進めている6種類のEEPIワクチンはポリオ、麻疹、結核、ジフテリア、破傷風、百日咳。